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西東京スポーツ 2010年11・12月号記事 永田克彦 《インタビュー》

プロ格闘家 永田克彦(シドニー五輪 レスリング銀メダリスト) インタビュー

聞き手:西東京スポーツ 発行人 新谷秀剛
(平成22年11月8日取材 於 格闘スポーツジム・レッスルウィン)

 

新谷:レスリングを始めたきっかけは?
永田:兄(永田裕志)がレスリングをやっていたこともありますが、強さに対しての憧れが凄くあって始めました。なかなか日常でレスリングに触れることはないのですが、小学生の時、オリンピックで日本のレスリング選手が金メダルはもちろんメダルを多く獲るのを見て、もの凄い力強さを感じ、また、兄のどんどん強くなっていく姿も見ていたので、兄よりも強くなってやろうという気持ちも強かったですね。
新谷:レスリングを始めた頃から強かったのですか?
永田:15才から始めたのですが、なかなか直ぐには強くなれませんでした。
新谷:辞めたくなったことはありますか?
永田:挫折して辞めたくなったことはなかったですね。ただ、最初はなかなか勝てなかったし、高校時代は全然成績は残せなかったです。県大会(千葉・成東高校)でも勝てなかったし、全国大会にも出れませんでした。
大学(日体大)に入っても伝統のある大学だったので周りが強くてなかなか勝てませんでしたし、高校とは比べものにならないくらい練習も厳しくて、とても辛かったですね。だから大学1年生の頃、夏休みや冬休みなんかは実家へ帰りたいという感じでしたね。
新谷:五輪のメダリストはスポーツを始めた頃から素質があって、既に他の人よりも秀でるものがあるように思ってしまうのですが永田さんはどうでしたか?
永田:僕は全くそういうタイプではなかったですね。結構珍しいタイプかもしれません。周りからもよくいわれますが「雑草」というタイプみたいですね。僕自身が五輪に出たことを驚いている人も多いですね。
新谷:本当ですか?
永田:僕の大学2年生頃までを知っている人たちは、五輪出場もそうですが、メダルを獲ったことも皆驚いていましたから、もともと僕はそういう存在だったんです。
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新谷:高校時代の成績は?
永田:県大会(千葉)で3位ですね。それもいきなり予選も無く県大会です。参加人数も20名位しかいませんでしたから、2~3回勝つとベスト4とかなっちゃいますから。(笑)
新谷:大学時代の成績は?
永田:1年生から2年生くらいまではあまり勝てませんでした。2年生の終わりくらいからやっと勝ち方がわかってきて自信が出てきました。
新谷:何故その頃から急に強くなったのですか?
永田:体力も付いてきて、大学にも慣れてきたし、強い中でもまれてきたので強くなったんだと思います。特に自分で食事(栄養)面とかトレーニング面とか考えて人一倍やってきましたから。
新谷:栄養面の研究は重要なのですね。
永田:はい、大切ですね。昔は細かったんです。(62キロ)。特に僕は筋力が足りなかったので人一倍トレーニングするために、しっかり食事を摂ったりプロテインを摂ったりしていました。その効果がでてきたのか大学2年生の秋の大会(新人戦)で優勝し、その後3年生の時に世界大会の選考会で4位に入りました。全日本選手権でも4位になり、全日本学生選手権で優勝しました。
新谷:大学2年生の頃から一気に結果が出始めたんですね。
永田:そうですね。
新谷:1997年から全日本レスリング選手権6連覇。凄い記録ですね。
永田:ちょうど大学を卒業後、24才から6連覇しました。
新谷:大学2年生の時に頭角を現してから一気に五輪銀メダリストへ駆け抜けたという感じですね。
永田:順調にいきましたね。ケガも少なかったですね。これは普段からの食事が大きかったと思います。しっかり食事(栄養)を摂って、ウエイトトレーニングをしっかりやっていたのでケガをしない身体が作れたんだと思います。
トレーニングで一番大切な三原則は「練習」「栄養」「休養」です。
新谷:しかし、永田さんは勝つまでに時間かかって苦労されたんですね。
永田:粘って続けて良かったという感じですね。
新谷:今現在プロの総合格闘家としてリング上で活躍しながら子供から高校生にレスリング指導もしているのですね。
永田:そうですね、より多くの人にレスリング・格闘技の楽しさ、素晴らしさを伝え、指導したいですね。そこで今年の4月から「格闘スポーツジム・レッスルウィン」を調布市仙川にオープンさせました。格闘技と触れることで皆がちょっとでも健康になってもらいたいし、人生を明るく生きてもらいたいという思いが強いです。
先ずは楽しんでもらってレスリング・格闘技に触れてもらい入り口を広くしたい。そこから本格的な選手になりたい人も出てきますから。
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新谷:積極的に子供たちにレスリングを教えているようですが。
永田:レスリングを通じて身体も鍛えられるし、精神面も鍛えられるし、挨拶、礼儀作法も良くなります。その辺を子供たちにしっかりと教育していきたいですね。
そういうことが出来ないと本当に強くはなれないですね。人間教育ですね。子供の場合、勝ち負けは関係ないですね。勝つために頑張ることが大切。全てにおいて向上心をもってやることが、その子供の人間として成長することにつながると思います。
新谷:本当に取り組む姿勢というものは重要ですね。
永田:一生懸命頑張ることが人間力のアップになるはずです。
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新谷:最近幼稚園や学校で運動会での勝ち負けを前面に出さないみたいですね。
永田:あれは絶対おかしい。これじゃあ今の競争の激しい世の中生き抜いていけないですよね。そういうところで(競争に)立ち向かうことの出来ない子供を育ててしまうんですよね。
「勝ちたい」とか「悔しい」とかいう気持ちを持たせるのは大切だということを僕は教えています。
新谷:子供を教える時に一番気をつけることは?
永田:練習を始める時には「おねがいします」という礼儀から教えます。レスリングの場合は必ず相手と握手で始まり握手で終わります。これは全世界で通用することです。どこの国に行っても先ず握手から始まりますからね。
新谷:今一番小さい子供で何才からジムに通ってきているのですか?
永田:3才です。子供にはマットの上で走り回らせたり、マット運動させたりと基本的な運動をさせています。みんな喜んでやっていますし、運動能力が凄く上がります。
新谷:子供たちの参加する大会はあるのですか?
永田:沢山あります。子供たちは、最初経験がないから負けるんです。そこで初めて悔しいという気持ちが出て練習への取組み方が変わります。その頑張った後メダルを獲ったりすると凄く嬉しいという気持ちがわきますよね。子供よりそれを見ている親が熱くなっていますね。(笑)
新谷:目標は五輪選手育成ですか?
永田:そうですね、結果として五輪を目指す子供が出てくるといいですね。
新谷:子供を教えていて目を見張ることはありますか?
永田:教えていると運動能力は格段と上がりますね。特に幼児は足が速くなったりします。運動会で1番を獲ったという子供もいますから。五輪だけではなく、単に子供たちの運動能力向上だけでもいいですね。結果として「学校で1番獲った」とか「体育の成績が良くなった」とかその子供にとってプラスになることを目標にしてやっています。
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新谷:ここでどのような指導をしているのですか?
永田:ランニングとマット運動です。前転したり後転したり、敏しょう性を高めるための運動とか自分の体重を使って動物の動きをさせるトレーニングとか、ロープを上ったり。基礎体力作りが多いですね。
新谷:マシーンを使わないで身体を使ったトレーニングばかりでなのでバランス感覚が良くなりそうですね。
永田:そうなんです、それが一番です。小さい時にバランス感覚は養わないといけないですよね。大人になってからやっても難しいですから。
新谷:あと何が子供の頃に教えるといいのですか?
永田:正しい身体の使い方ですね。一人一人人間にはバランスがあって、その身体の使い方が悪い人って、それを修正してあげないといけないところがある。身体の使い方が悪いとケガもしやすいし、なかなか上手くなれない。指導者の問題ですが、一番そこが重要なところです。
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新谷:しっかりした指導者についてもらわないといけないですよね。
永田:個人の能力が高くない人でも正しい身体の使い方を教えてあげれば変わりますね。でも子供はただがむしゃらにやっていればいいですけどね。(笑)
新谷:あと栄養ですね。
永田:食事(栄養)は重要です。特に栄養面は身体の回復につながりますから。トレーニング後に身体を回復させることは重要です。身体を動かすための食事も重要ですが、しっかり栄養補給して、しっかり寝て身体を回復させることは何より重要です。
新谷:スポーツをする子供たちへメッセージお願いします。
永田:自分も能力があまり高くなかったんですが、頑張って諦めずに続けたら五輪に行けたので、とにかく諦めずに続けて下さい。そうしたら絶対に強くなります。
新谷:永田さん今日は有難うございました。


(編集後記)
永田さんはとても誠実で人当たりの良い方でした。シドニー五輪の銀メダリストなので小さいときから脚光を浴びていた方かと思っていましたが違っていました。強くなるための研究や努力を惜しまず、それを継続したからこその「雑草」魂のメダリストでした。永田さんのモットーは「挑戦し続けること」だそうです。是非レスリング・格闘技の「楽しさ」「素晴らしさ」を一人でも多くの人に伝え続けていただき、将来のオリンピック選手を多摩地区から出してもらいたいものです。(新谷)

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イベント名 西東京スポーツ 2010年11・12月号記事 永田克彦 《インタビュー》
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